選択肢問題の解き方
こんにちは、たけちゃんです。
今回は国語の読解問題を解く上で、なるべく落としたくない選択肢問題の解き方について綴っていきたいと思います。
選択肢を解くに当たっては大きく分けて「即答法」「消去法」「比較法」の3つがあります。
「即答法」は主に言葉の意味を答える形式の問題で、かつ文脈からは言葉の意味が推測しづらく、その言葉の意味を知らなくては解けない問題に使う解答法なので、ここでは割愛します。
主に読解問題の文章内容に関する選択肢問題では、「消去法」と「比較法」を使って正答を導き出していきます。
これも私が現場でよく経験する事なのですが、内容に関する選択肢問題を「即答法」で解いている生徒が見受けられます。
よほどの基本的な問題でない限り、パッと見て「これが明らかに正解だ」という選択肢は無く、入試問題レベルの選択肢問題になってくると、必ず一つや二つは紛らわしい選択肢が混じっているものです。
四つ乃至五つある選択肢の中から「正しいもの」を一つ選ぶより、「間違っているもの=本文には書かれていないもの」を消していってあげる方が、はるかに楽ですし、正答率も上がります。
ですから、私が授業で生徒たちに選択肢問題を教える際には、間違っている選択肢の中のどこの部分が本文に書いていないかを、横に線を引かせて、線の上に×をつけさせて、一つ一つ誤った選択肢を消させています。
こうしていくと、5択が4択、3択、2択へと減っていき、簡単な問題なら最終的な答えまで浮かび上がってきます。
これが選択肢問題の王道である「消去法」です。
しかし、大概の選択肢問題では、誤りと判定できる選択肢を消去していっても、2択あるいは3択以上、絞り切れない場合があります。
そこで登場するのが「比較法」です。
残った2つ乃至3つの選択肢を細かく比較します。すると、選択肢の文章全体を見ると合っているような気がしても、一部分だけ本文に書かれていないことが書いてあったりします。
特に、「必ず〜」などの言葉が用いられている「絶対表現」や「〜だけ」などの言葉が用いられている「限定表現」を用いている選択肢は、まず不正解だと思って下さい。
なぜなら国語の論理に於いて0か100というものはまず無いと言ってもいいからです。
そういう精査をして、どこにもケチのつけようのない、たった一つの選択肢を炙り出していくのです。
では、例題を用いて実際に解いていきましょう。
「とにもかくにも、」彼はなお床の上で考えた。「ふられた虎一役は、うまくやらなければならない。獣にふんすることが、何も恥じょくというわけではない。獣でも鳥でも、うまくやりすえすれば立派な役者なのだ。そして何といっても、虎をやれる役者は、日本中におれしかないのだ。そうだ。一つ虎をうまくやって見物をわっといわしてやろう。そしてほかの役者どもをけとばしてやろう。今のおれが生きて行くには、そうするよりほかはないのだ」
彼は急いで起き上がると、階下にいる妻を呼んで、着物を着かえた。
そしてもう晴れ晴れした顔つきをしながら、階下へ下りて行った。
久米正雄『虎』 より
問
傍線部のときの「彼」の説明としてふさわしいものを選びなさい。
1. 生活のためには役者としてのほこりを捨て、たとえ動物の役であろうとやらないわけにはいかないと、気持をきりかえた
2. 演劇の実力者である自分がたかが動物の役であれこれなやむことはないと思いいたり、世間の悪い評判を頭から取りはらった
3. 虎などというやりがいのない役を自分におしつけた演劇仲間たちの悪意を感じ、なんとしても彼らをやりこめようと奮起した
4. 虎を演じることに恥ずかしさを感じていたが、虎を演じられるのは自分しかいないと考えることによって自信を取りもどした
では、選択肢を順に吟味していきましょう。
1.は「生活のために」と書いてありますが、「彼」が生活に困窮している様子は文章からは読み取れないので×
2.は虎の役を演じる事に関して、世間がどう捉えているかが本文中には一切書かれていないので×
3.は「演劇仲間たちの悪意」など本文中からは読み取れませんし、「彼らをやりこめよう」という気持ちで虎の役をやってやろうと決意した訳ではないので×
4..は「虎を演じることに恥ずかしさを感じていた」の部分が本文の「獣にふんすることが、何も恥じょくというわけではない」と書いてある事から、「彼」は今まで虎の役を演じることに恥ずかしさを感じていた様子が伺えます。
また、「虎を演じられるのは自分しかいない」
の部分が本文の「虎をやれる役者は、日本中におれしかないのだ」の部分に合致しますし、「自信を取りもどした」の部分は本文の「そうだ。一つ虎をうまくやって見物ををわっといわしてやろう」の部分から、それまで虎の役を演じる事に対して後ろ向きだった「彼」が自分の役柄に自信を持って、やってやろうという前向きな気持ちになった事も読み取れます。
ですから、4.は正答の候補として残しておきます。
これで1.から4.までの選択肢の吟味が終わりました。
唯一ケチがつけられなかったのは4.だけでしたので、正解は4.という事になります。
今回は比較法を使わずに答えが出ましたが、正答の候補が複数出た場合でも、一つ一つの選択肢を細かく本文と照らし合わせれば、必ず一つだけ本文の内容と矛盾しない選択肢が浮かび上がってきますので、選択肢の問題を解く際は、是非「消去法」と「比較法」を活用して、確実に得点していって下さい。